APIファーストで開発するメリットとは？

数年前から聞かれるようになったキーワード、APIファースト。今回はそのメリットについて紹介します。

APIファーストとは？

APIの設計を中心として、スケールアウトを意識したサービス構築手法になります。

デバイスサポート

かつてはWebシステムだけだったのが、スマートフォンやタブレットへの対応が求められるようになりました。スマートフォン向けのWebサイトという方法もありますが、多くの場合はネイティブアプリでの対応が必要です。

その際、サーバとアプリ間の通信ではAPIを用いて行われます。これが最初にWebシステムだけを対象に開発されてきた場合、後付けでAPIを実装することになります。HTML出力とAPIは全く異なるため、開発コストが増えたり、そもそもシステムの設計思想が異なるといった問題が発生します。

APIファーストとしてAPIの設計から進めておくことで、Webシステムとスマートフォンアプリとで共通した設計思想の基にサービスが提供できるようになります。

フロントエンドとバックエンドと切り離し

HTMLを返すシステムの場合、フロントエンドとバックグラウンドが密接につながった状態になります。HTMLを修正したいと思った際にもサーバのデプロイが必須になり、効率的とは言えません。APIファーストとしてフロントエンドを切り離せばフロントエンドの修正がバックエンドに影響しなくなります。

バックエンドが切り離されることで、負荷に応じた増強も部分的に実施できるようになります。多くの場合バックエンド側に負荷が集中し、フロントエンド側は殆ど増強は不要でしょう。アプリケーションサーバを増強することで、フロントエンド側の表示処理なども高速になります。

さらに最近ではSPA（シングルページアプリケーション）というWebアプリケーション構築法もあります。SPAの表示を行う際にすべてを一回にサーバから取得するのは現実的ではありません。必要に応じてAPIから取得するのが一般的です。

インタフェースの多様化。デバイスの多様化

今はWebシステムだけではありません。スマートフォンやタブレットアプリ、デスクトップアプリなども利用されます。そうしたデータを利用するインタフェースの多様化であったり、デバイスの多様化に対応するためにもAPIファーストの視点は欠かせません。

多くのWebサイトにおいて、スマートフォンが出た時の表示対応が大変でした。現在はレスポンシブWebデザインを採用するケースが多いですが、当時はWebブラウザの種類によって表示の出し分けを行っていたかと思います。同じことがスマートフォンでもタブレットでも起こるようになります。

表示を行う画面、ビューは技術の進歩が速く、その度にサーバ側を変更していたのでは追いつけなくなってしまいます。APIファーストにし、表示側を切り離すことで早い対応ができるようになるでしょう。

モノリシックなシステムとの決別

表示処理とサーバ側のバックエンド処理が密接に絡んでいるとシステムは肥大化し、いわゆるモノリシックなシステムになってしまいます。メンテナンスするのも困難になったり、いわゆる技術的な負債がたまってしまいます。

APIファーストの視点を取り入れることができれば、APIのURLごとに技術を変えたり、設計の統一ができるようになります。これによってメンテナンス性を向上させたり、マイクロサービス的な視点によってサービスの肥大化を防げるようになります。

APIファーストな視点はスマートフォンアプリ開発を行っている時には当たり前になっています。しかし初期はWebブラウザ向けだったのが、スマートフォンアプリにも展開したいという話に発展するケースは多く、その意味では最初からAPIを前提に組んだ方が開発効率が向上します。

APIファーストで開発することでビューの選定が自由度を増したり、メンテナンス性が向上するようになります。ぜひ今後はAPIファーストで開発するようにしましょう。